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花カゴの写真

小児科医 中村弓美の部屋

小児科医 中村弓美のエッセイ・雑記

子どもと山登りしませんか

私が子供だったころは、遠足といえば山登り。 体力がなかった私はいつも最後尾で、泣きたい気分。 でも山の上で食べた昼の弁当のおいしさや、登りきったことがうれしかったのを、今も覚えている。

だからかどうか、我が家では4人の子供たちと金峰山をはじめ、大分・久住山などに何度も登った。 子供たちは、アスファルトの山道を登るのは嫌いだが、自然のでこぼこ道は大好き。

家族写真。久住山頂上。

ところで、子どもたちにスポーツや勉強を「頑張れ」と励まし、これから先の人生で「苦労のない生活ができるように」と、親は願う。 もちろん、そんな苦労のない人生なんて、あり得ないと知っている。

親が本当に願っているのは「金持ちになってほしい」とか、「有名になってほしい」とかではない。 「困難に出会ったとき、人生をあきらめず、苦労から逃げずに踏みとどまれる強い精神(こころ)を持ってほしい」のだ。

山登りでは、ハーハー息荒く「何でこんなにしてまで歩くんだろう」と苦しい思いをしながらも、一歩一歩を踏み締める。

気がつけば、はるかかなた、とても行き着けそうにないと思っていた頂上に。 到着した頂の上だと、それまで見えなかった四方も見渡せる。 そして、自分が来た道を、かつて自分が居た場所を、俯瞰してみることだってできる。

まさに山登りは人生そのもの、人生の疑似体験かもしれない。 頭で覚えたことは忘れても身体で覚えたことは忘れないという。 山に登るうちに、意識できない魂の奥底に「一歩一歩の苦労こそが喜びになる」「迷ったら登り道を選べ」という確信が生まれると思う。

子どもたちと一緒に、山登りに出掛けてみませんか。弁当を持って。

(平成15年10月11日 熊本日日新聞 夕刊「今日の発言」掲載)

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