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小児科医 中村弓美の部屋

小児科医 中村弓美のエッセイ・雑記

男という生き物は・・・

「男という生き物はどうしようもない」と、母や姑に言われた。 しかし、若かった私は、反発を覚えた。 好きで一緒になった夫に対して期待こそすれ・・・。

結婚生活で、私は子どもができ、家事全般を押し付けられた格好となって、思うように家事をこなせず、いらいらすることが多かった。 お金の使い方、子どもの育て方・自分たちの健康管理(特に夫の喫煙と肥満対策)などでも、 夫と私は考えが異なり、時には言い争うこともあった。

私としては夫に仕事ができる男であってほしいと願いながら、同時にマイホームパパにもなってほしかった。 相反する願いを追い求めていた。 私が気に入る夫に変えようと必死だった。

映画「雨月物語」を思い出す。 美しい女の亡霊に、稼ぎをつぎ込む勝四郎。ついには魂を抜き取られそうになり、やっとの思いで家に帰りつく。 妻の宮木に歓待された翌朝、その妻が既に死んでいたことを知る。 そこで勝四郎は心を入れ替え、子どもをしっかり育てていこうと決意する。 その様子に「やっと私の思うあなたになってくれましたのね」と、宮木は墓の中からつぶやく。

すさまじい。男と女を取り結ぶ執念は想像を絶するばかりだ。

さて、私の場合、「夫が変わることを望むのは無理。自分のできることから始めよう。」と肩の力を抜いた。 すると、夫との間合いも変わったように思う。 「男はどうしようもない」という”達観”も、女の側が一歩譲って、夫婦関係を上手に維持する知恵だったのかも知れない。

十万山不動明王立像

不動明王は剣と綱を持って「自分の欲と戦え」と教えている。 たとえ夫(妻)を変えることはできなくても、双方が欲や願いを見つめ直すことで、お互いが変わるのではないか。

(平成15年12月13日 熊本日日新聞 夕刊「今日の発言」掲載)

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